煎り具合の定義

コーヒー豆やさんに行くと、ハイローストやシティーロースト、フルシティローストだったりフレンチローストとかあります。

初めての人は何のこっちゃわからなくて戸惑うでしょう。

浅煎りや深煎りという表記もあるでしょう。

そもそも煎り具合の定義は何なん!?

L値?味?酸味の量?爆ぜの進行状況?

23年やっていてさっぱりわからん。

というか店ごとに統一なんかされていない。

当店もお客様に販売するのに便宜上「深煎り」や「中煎り」など名前を付けてはいます。

「深煎り」か「深煎り以外か」と言う意味で付けています。

その名前は当店の基準であり、他店では通用しない通名です。

世のかなには中煎りといっても、爽やかな香りにみずみずしい酸味が楽しめる良い中煎りもあれば、まともに水分も抜けてなく全く素材の良さを引き出して無い中煎りもある。

深煎りといっても、かどの無い滑らかな口当たりに甘く心地よい余韻のある素晴らしい深煎りもあれば、焦げ臭を伴う強い苦味と濁り感があり、後味の悪い不快な味わいの深煎りもあります。

焙煎(炒る)という作業は、焙煎をする人のセンスによって大きく味が変わるのです。

ステーキの焼き方だって、レアやミディアムレア、ミディアム、ウェルダン等々いろんな呼び名があります。焼く人によって出来上がりは全く違う。

しかし、何だか通っぽい気分にさせてくれるので、コーヒーと似ているのかもしれません。

肉がどこの部位か、どんな餌を食べているのかも知らずに、何だか通っぽい雰囲気を楽しみ、ミディアムレアで!と。

これも楽しみの一つなのかもしれません。お店もお客様に通っぽい気分を堪能させてあげるのが商売なのでしょう。

残念ながら今までの当店では・・・。

客:「フルシティローストの豆ありますか?」

店:よく分らないのですが、お客様のいう「フルシティロースト」の定義は何ですか?

L値?味?酸味の量?爆ぜの進行状況?ですか?

2ハゼからどれくらいの温度上昇の事でしょうか?

ダメな店だ、お客様の質問に真面目に答える事が正解ではない。俺のバカ。

お客様に通っぽい気分を堪能させてあげればいいのだ。気持ちよくさせるのが商売。

何も分らない客に何も分らない事を知らしめても徳になる事は無い。へそを曲げるだけだ。

と、肝に命じているが真面目に取り合ってしまう。

客はせっかく通ぶりたかったのにメンツが台無し。

より多くのお金を手に入れるのが目的ならこんな接客は絶対ダメ。

ただ、自己顕示欲の強い人や、かまってちゃん、勘違いのお客様を必要以上に大切にしてしまうと大変な事になります。

やべぇ奴と言うのは必ずいる。千と千尋の神隠しで、千尋が働く油屋で大暴れしたカオナシのような。

如何に気持ちよく早く帰ってもらうか。これが出来るのがプロの商人であり、その点私は商人の家に生まれ、自分も23年間商人をしているのに全くなってないのである。

このような出来損ないの商人ではあるが、太客のお客様にはよくして頂いている。

こんなマナーの悪い店なのに長い間ご購入して頂けるお客様には有難い限りだ。
今後もお客様を気持ちよくさせるサービスは無いが、より良い味わいのコーヒーはお届けしたいと思っている。